2023.8.28 週刊粧業に掲載されました。

ノーベル化学宏業

品質向上と高い生産性の両立に向け

人材育成を推進、技術継承も

 小ロット・多品種製造に特化した化粧品・医薬部外品OEM/ODM事業を展開するノーベル化学宏業は、スキンケアを中心に付加価値製品の開発・製造を強化している。研究開発部門では、エステサロン向けや通販系などの商品企画で、ヒト幹細胞培培養液やエクソソーム、ナイアシンアミドなど高い美容効果が期待できる成分の配合依頼に対応し、処方実績を増やしている。それら成分の高濃度配合も実現し、高機能化のニーズに応えている。勝見篤嗣社長は、大学などの研究機関と共同研究を進めるとともに、「特許取得済み原料を用いて、独自性の高い開発を推進していく」と話している。

製造部門では、「お客様目線のモノづくり」を掲げて取り組んできた工場従業員の教育で、「使う道具も一つひとつ丁寧に扱うようになり、モノづくりに対する姿勢がより良くなってきた」と一人ひとりの業務品質に対する意識の高まりを実感しており、「工場内の士気も上がってきている」と話した。

今後はチームワークを生かして業務効率化につなげ、生産性の向上を図っていく考えを示した。「前期(2023年6月期)の終盤にかけてはリピート受注が伸び悩んだが、7月以降は回復傾向にあり、新規取引の引き合いも増えてきている。ただ、傾向として依頼が小ロット化してきている。物価高や電気代の高騰が続き、消費者の購買意欲が上がりにくい状況にあるため、この傾向はさらに強まる可能性はある」(勝見社長)

今期は生産効率の向上を目指し、製造を中心に各部門で検証を進めていく計画で、勝見社長は「引き上げた品質水準を維持したまま、作業スピードを上げて顧客に還元していきたい」と語った。

 従業員育成は、業務品質の向上とともに、技術の継承も目的に取り組んでいる。 「日本製が海外で高く評価され続けてきたのは、高い品質を維持してきたからだ。当社は、OEM業界の中でも早い段階で、無添加など肌にやさしい化粧品の開発・製造に取り組み、顧客からの評価や信頼を得て成長してきた歴史がある。そして、顧客からの要望では、前例がないものでも、まずは試作を行うスタンスで取り組むことで関係を築いてきた。そのような当社の本質的な価値の部分の継承も進めていく」(勝見社長)