ノーベル化学宏業
独自原料の活用や試作対応を強化
品質向上や人材育成に向けた投資も
小ロット・多品種に特化した工場でスキンケアを中心に化粧品・医薬部外品OEMを展開するノーベル化学宏業は、既存顧客の受注回復で、2023年7月期は前年同期の業績を上回って堅調に推移している。勝見篤嗣社長に話を聞いた。
――貴社が得意とするエステサロン系の製品の受注状況はいかがですか。
勝見 コロナ感染拡大とそれにともなう行動制限の影響を受けて苦戦していたが、前期の後半あたりから受注が回復してきた。業績もコロナ前の水準にほぼ戻りつつある。
――自社HPへのお問い合わせや取引先からの紹介を通じての新規案件は今期も堅調とのことでした。製品傾向に特徴は見られますか。
勝見 当社が小ロットに特化した工場ということもあり、1000本前後の少量生産の対応が増えてきている。
傾向としては、アイクリームなどニッチ商品の企画案件は引き続きニーズの高さを感じる。又、
ブースターを含む、高機能タイプの美容液の開発依頼が増えてきている。巣ごもり期間を経て、消費者のスキンケア効果に対する意識が高まったといった調査結果もあり、より機能性を重視した製品が求められてきているように思う。
――高まる高機能化へのニーズにどのように対応していますか。
勝見 特許取得原料など自社のオリジナル原料を用いて、差別化や付加価値につながる製品開発を進めている。
エステ系の顧客を多く抱えているため、新規性やトレンド感のある美容成分を配合した処方開発も積極的に行っている。近年は、ヒト幹細胞上清液(培養液)が人気で、採用実績も増えている。CBD原料についても試作から対応している。
当社は、難しい開発依頼に対しても、まずは試作するスタイルで顧客との信頼関係を築いてきた。
このスタイルを今後も貫き、化粧品製造業の付加価値を高めていく。
その一環で、品質管理体制を強化し、顧客満足度の向上を図っていく。4月には新たに部門担当者を採用し、品質管理のレベルをさらに一段引き上げていく。
――人材教育も力を入れてきました。
勝見 継続して取り組んでいる。従業員の中には、ものづくりに対して熱い想いを持っている方もいる。そうした方々と同じ目的意識を持って働ける環境を整えていきたいと思っている。昨年はリーダーミーティングなどもとりいれ、生産現場の細かな課題を抽出し、やれるところから改善を図っている。