2021.2.22  週刊粧業に掲載

 顧客関係性など不変の価値を高める

「少リスク参入」への対応も強化

 

 ノーベル化学宏業は、小ロット・多品種の製造に特化した工場で化粧品・医薬部外品OEMビジネスを展開している。2021年6月期上期は、コロナ禍の影響が長期化し、主要顧客層であるサロン関連の製品受注が伸び悩んでいるが、新規参入を目的とした製造依頼や相談への対応を推進して来期での成長拡大を見据える。勝見篤嗣社長に話を聞いた。 

 

 ――21年6月期の上期を振り返っていかがですか。

 勝見 秋頃にかけて回復基調が見られたものの、その後の第3波の到来で顧客の保守的な考えがより強まった印象がある。安定的なリピート    生産品を売上の基盤にしているが、一部のリピートオーダーのスパンが長くなってきている。当社の顧客層が、個人経営を含むサロン事業を展開している企業が多いことも影響していると思う。

 すでに下期に入ったが、コロナ禍の状況次第によるところが大きく、通期の見通しは立ちにくい状況にある。

 

 ――先行きが不透明な状況での経営で大事にされていることは。

 勝見 当社は、顧客との関係性を重視した化粧品ビジネスで60年以上の社史を築いてきた。これは、時代や環境が変化しても変わらない当社の価値として持ち続けていく。今後も既存顧客を中心に据え、リピート生産品を増やすことで生産性の向上を図り、新製品の提案につなげる。このスタイルを貫いていく。

 魅力ある新製品の提案に向け、研究開発力の強化を進めている。保有特許を活かした処方開発や独自原料の開発を新たにスタートし、高機能化ニーズに対応していく。

 また、当社は営業部隊を持たず、これまで企画OEM会社や既存顧客からの紹介で取引を広げてきた。そうした人的ネットワークも引き続き大切にしていく。

 

 ――一方で、様々な業務のデジタル化が進み、貴社のWebサイトから製造依頼や相談が増えているようですね。

 勝見 コロナ禍の状況にあっても、業績悪化を受けて新規参入の事業領域として化粧品ビジネスを選択する企業もあるようだ。「小ロットでEC販売から」といった少リスクでの相談も少なくない。そうしたスタートアップを目指す企業との取引を増やしていくことで成長拡大を図っていく。