2020.8.25 週刊粧業に掲載

化粧品・医薬部外品OEMのノーベル化学宏業は、小ロット・多品種に特化した生産体制を整え、オリジナル原料の開発から製品化まで一貫したサービスを提供する。

 2020年6月期は、上期が計画を上回って推移したが、下期で主軸のエステサロン向けOEM製品の受注が伸び悩み、売上高は前期に比べて微減で推移した。

 勝見篤嗣社長は「クライアントとの関係性を重視したリピート生産型を構築し、市場環境に左右されにくい体制を整えてきたが、5月頃からコロナ禍の影響を受けて受注が伸び悩んだ」と話す。

 エステサロンの多くは3~5月にかけて休業し、営業再開後も客足が戻り切れていない状況にあり、経営リスクの軽減のため、「在庫管理の改善を図るサロン事業者が増えている」という。

 一方で、サロン事業者からは、従業員や顧客向けに消毒・除菌関連製品を提供したいという依頼が増えており、アルコール濃度70%以上の消毒用ハンドローション&ハンドジェルを製造し、供給を開始した。

 「また、マスク着用によるニキビや肌あれなど肌トラブル対策向け製品の開発依頼が新規案件として増えている。それら開発製品の使い方や肌のお手入れ法などの講習会やセミナーの依頼にも対応し、モノ+αの提案力を磨いていく」(勝見社長)

 既存顧客の満足度向上に向けて、新たなニーズへの対応とともに、サポート領域の拡大も進める。開発製品では商標登録を進めており、同社の関連会社で化粧品の企画開発・製造販売事業を展開する成美(本社=大阪市)と連携し、販売支援体制を補強する。

 コロナ禍の長期化を見据え、製造体制の見直しも進める。

 「製造設備のメンテナンスとともに、基本に立ち返り品質・安全教育も行った。小ロットの生産性向上を推進していく」

 新規顧客の開拓に向けては、自社の強みや特長も見つめ直し、企業HPをリニューアルした。

 「近年は、HPからの開発・製造依頼も増えている。特殊なイオン水を使用した化粧品の開発など他社にはない強みを伸ばすとともに、特許出願・取得数を増やし、化粧品開発メーカーとしての魅力度を高めて、受注率アップにつなげていく」(勝見社長)

 自社オリジナル原料の研究開発では、藍を素材にした化粧品原料の開発を進めているという。

 勝見社長は、「当社が追求する『美肌美』を掘り下げていくと、身体の内側からのケアも重要になる。内外美容の提案も検討していきたい」と述べ、ヘルスケア領域への参入も視野に入れる。