2019.8.26 週刊粧業に掲載

社会的ニーズにも小ロットで対応

機能水をベースに新たな開発も

 

多品種・小ロットに特化した生産体制で化粧品OEMを展開するノーベル化学宏業は、既存顧客からの受注増加傾向が続いており、2019年6月期も堅調に売上を伸ばした。

勝見副功社長が「工場設備が限られていることもあり、生産能力に合わせた受注対応を重視している」と話すように、日本製コスメの需要拡大傾向にあるここ数年も渋滞のスタイルを崩さず、既存顧客への対応を最優先しながら業績を伸ばしている。

その上で、業界への新規参入を目指す企業を中心に「HPからの問い合わせが増えている」ほか、既存顧客からの紹介で「新たな企業との接点が広がっている」ことから、今期も生産性向上を進め、新規顧客の継続的増加につなげていく計画だ。生産性向上には、人材の確保・育成を課題に挙げ、育成の仕組みづくりを進めるとともに「ベトナム人技能実習生の受け入れも検討していく」という。

また、小ロットを求める顧客の多くはファブレス企業であることから、関連会社で企画OEM事業を展開する成美と連携し、オリジナル原料の使用など製品企画からのサポート体制を強化していく。

昨今の小ロットでの新規委託傾向に水を向けると、勝見社長は、「見た目や剤型のユニークさと効果実感を両立した製品づくりを目指している」という開発の方向性とともに、パラベンなどは安全性の高い防腐剤であると前置きした上で、「社会的ニーズになってきているフリー処方への対応も欠かせなくなっている」と語った。

また、スポッツケアを中心に機能性を訴求した依頼案件が昨年あたりから増えていることを受け、クリームや乳液など乳化技術を用いた処方開発を進めている。天然由来の界面活性剤を使ったクリームなど「過去の開発製品についても顧客ニーズに対応出来る形に改良を進める」という。

また、化粧品開発の基本に戻り、ベースとなる「水」に着目し、肌への浸透性を追求する。これまで純度の高い超純水を使用したOEM実績をもつが、水素水や酸素水など他の機能水を用いた開発にも挑戦する意向だ。